「取引相場のない株式等の評価」の通達改正
国税庁は5月15日、取引相場のない株式等の評価の見直しを盛り込んだ「財産評価基本通達の一部改正」(4月27日付)と、この通達を解説した「あらまし」(4月28日付)を公表しました。
今般の改正については、非上場株式の評価が相続税法の時価主義の下、より実態に即した評価となるように見直しが行われたものです。
非上場株式の評価の改正内容
(1) 類似業種比準方式の見直し
① 類似業種の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える。
② 類似業種の配当金額、利益金額及び純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)について、連結決算を反映させたものとする。
③ 配当金額、利益金額及び純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)の比重について、1:1:1とする。
(評価通達 180、182、183-2、189-3、194-2、明細書通達=改正)
従前 | 改正後 | |
1株当たりの類似業種比準価額の算式 |
類似業種の上場会社の株価 ×(配当比準値+利益比準値×3+簿価純資産比準値)÷5×斟酌率(大会社=0.7、中会社=0.6、小会社=0.5) |
類似業種の上場会社の株価 ×(配当比準値+利益比準値+簿価純資産比準値)÷3×斟酌率(大会社=0.7、中会社=0.6、小会社=0.5) |
(2) 会社規模の判定基準の見直し等
④ 取引相場のない株式等を評価する際の会社規模の判定基準における大会社及び中会社の総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)、従業員数及び直前期末以前1年間における取引金額について、近年の上場会社の実態に合わせて改正した。
(評価通達178、179、189、明細書通達=改正)
会社の規模 | 総資産価額(帳簿価額) | 従業員数 | 直前期末以前1年間の取引金額 | |||||
卸売業 |
小売・サービス業 |
それ以外の 業種 |
卸売業 | 小売・サービス業 | それ以外の業種 | |||
大会社 | 70人以上 | |||||||
20億円以上 | 15億円以上 |
35人超 70人未満 |
30億円以上 | 20億円以上 | 15億円以上 | |||
中会社 | 大 |
4億円以上 20億円未満 |
5億円以上 15億未満 |
7億円以上
30億円未満 |
5億円以上
20億円未満 |
4億円以上
15億円未満 |
||
中 |
2億円以上 4億円未満 |
2.5億円以上 5億円未満 |
20人超
35人以下 |
3.5億円以上
7億円未満 |
2.5億円以上
5億円未満 |
2億円以上
4億円未満 |
||
小 |
7千万円以上 2億円未満 |
4千万円以上 2.5億円未満 |
5千万円以上
2.5億円未満 |
5人超
20人以下 |
2億円以上
3.5億円未満 |
6千万円以上
2.5億円未満 |
8千万円以上
2億円未満 |
|
小会社 | 7千万円未満 | 4千万円未満 | 5千万円未満 | 5人以下 | 2億円未満 | 6千万円未満 | 8千万円未満 |
※下線部が改正点